糖尿病治療、小児科から内科への移行の重要性 7/15

また、発症初期の栄養指導で厳格なカロリー制限に様な指導を行うことで「血糖値を食事によりコントロールしなければならない」という一種の強迫観念を作り出すことがあります。まじめな母親ほど完璧なカロリー計算による完璧な食事を準備し、「これで何とか血糖値が正常になるだろう」と期待します。1型糖尿病の場合、インスリン分泌が枯渇すると、それだけでは血糖は不安定なことも多く、母親は絶望感に陥ることもあります。ついには子供が隠れて何か食べているのではないかと疑うようになり、親子関係が崩れてしまうこともあります。

一方、まじめな子供ほど、親に心配をかけてはいけないとストイックな食生活を自らすることもあります。このような生活は一生続けられるものではなく、いつか破綻し、自己評価の低い人間となり、摂食障害を引き起こすかもしれません。この原因を作るのは発症初期に対応した医療者です。(小児思春期糖尿病の対応マニュアル 中山書店 p120より改変)