糖尿病外来
糖尿病とは
膵臓から分泌されるインスリンの作用不足により慢性的な高血糖を来す病気です。高血糖が持続することにより様々な合併症をおこす危険性が高まります。ほとんどは自覚症状が乏しく、中等度以上の高血糖が続いた場合に特徴ある症状(口渇・多飲・多尿・体重減少など)が出てきます。症状が乏しいため、なかには合併症が進んだ場合に出てくる症状(視力低下・足のしびれ・歩行時下肢痛、勃起障害・無月経・便秘・下痢・足潰瘍・壊疽など)で、初めて糖尿病が発覚する場合もあります。
糖尿病のタイプ
1.1型糖尿病 (糖尿病全体の2-3%)
β細胞が何らかの原因で破壊され、通常は絶対的インスリン欠乏に至ります。その場合、インスリン注射をしなければ生命に危険が及びます。発症年齢として、思春期ごろがピークとなりますが、中高年に発症することもあります。治療はインスリン自己注射が必須となります。2001年より日本で使用できるようになったアナログインスリンで、血糖コントロールがしやすくなり、日常生活のしやすさも格段に改善しました。さらにインスリンポンプや持続グルコース測定のようなデバイスも進歩しています。一方、最新のデバイスを使用するために医療費が高額になるデメリットもあります。
2.2型糖尿病 (糖尿病全体の90%以上)
インスリン分泌低下を主体とするものと、インスリン抵抗性が主体でそれにインスリンの相対的不足をともなうものがあります。発症には遺伝因子(家系)と環境因子(過食・肥満・運動不足など)の両者が関わっています。一般的に生活習慣病といわれていますが、生活習慣が悪いというよりも、食事や運動などの少しの変化で血糖に大きな影響を及ぼす体質がある疾患と考えています。糖尿病、高血圧、脂質異常という疾患に代表される生活習慣病を正しく理解することは重要です。当クリニックの方針としての生活習慣病の考え方について、公式ブログをご参照ください。
3.その他の特定の機序、疾患によるもの
遺伝子異常によるもの、肝臓や膵臓の病気やステロイドなどの薬剤によるものなどがあります。
4.妊娠糖尿病
妊娠中に発症、あるいは始めて発見された耐糖能異常。妊娠糖尿病の人が分娩後に正常型になっても高率(17.4~36.4%)に、その後、糖尿病を発症します。
糖尿病外来
糖尿病になると問題となるのが合併症です。網膜症・腎症・神経障害(3大合併症)に加え、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患を引き起こす可能性が高くなります。
その合併症を予防するためには、食事・運動などの自己管理が必要となります。バランスの良い食事をとる・間食を控える・アルコールを控える・適度な運動をするなど口で言うのは簡単なことですが、それをずっと続けていくのは大変なことで、日常生活の中でこれらを完璧に行うためには相当な努力を必要とします。そのため私たちは、糖尿病チームとして現実的に可能な食事・運動療法を患者さんと一緒に考え、治療方針を決定していきます。そして無理のない健康生活を実行していけるようなサポートを行います。それでも血糖コントロールが目標に届かない場合、もしくは血糖が非常に高い場合には血糖を下げるための効果的な薬の処方を提案いたします。また、心筋梗塞や脳梗塞などいわゆる動脈硬化性疾患の予防のために、血圧・脂質の管理や喫煙されている場合は禁煙の提案も行っていきます。
食事療法
糖尿病合併症予防のために食事療法は重要です。しかし、そもそも食事というものは健康のためだけに取るものではありません。ストレスがたまったときにその発散のため、接待や飲み会など社会生活を円満に行う手段として、おいしいものをただ食べたいという楽しみのためなど、日常の様々な状況で食事は大きな役割を果たしています。それが食事療法を完璧に守ることが困難な理由なのです。
また、かつて糖尿病の食事療法は、食品交換表を用いた栄養指導として行われていましたが、近年、カーボカウントや糖質制限、食事の順番療法など、様々な方法も提案されています。そのため、個人の糖尿病の病態や好みを考慮し、現実的に実践可能な食事療法を私たちは提案していきます。
運動療法
私が研修医のころ、指導医が「仕事中に体を動かしているのは運動ではない」と患者さんに言っているのをよく聞いていました。かつて運動療法というのは、そのための時間を作り頑張ってするものだという考えだったのです。しかし最近の運動療法は変わってきています。一日のうちの何時でもいいので、一日の歩数を増やす、座っている時間を減らす、座位から立ち上がる回数を増やす、このようなものでも健康にいいとされる報告が数多く出てきました。体を動かすというのは糖尿病の有無にかかわらず健康にいいですし、なにより気持ちのいいものです。一方、インスリンや低血糖リスクのある内服薬で治療中の方は運動による低血糖に注意する必要があります。適切な運動の内容は、個人の体力や合併症の有無、薬物療法の種類などにより大きく変わってくるため、ご自身にあった運動を私たちと一緒に探していきましょう。具体的な運動療法の考え方について、公式ブログをご参照ください。
薬物療法
糖尿病の薬剤は、個人の糖尿病の病態に応じて適切に対応できるよう、近年様々な薬剤が承認されてきました。経口血糖降下薬は現在9種類あり(クリニック公式ブログ参照)、自己注射剤としてインスリンやGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬も多種にわたるものが使用できるようになっています。そして、これらの薬剤の効果については、多くのエビデンスが報告されています。これらエビデンスの知識や糖尿病専門医として臨床で培われた経験より、患者さん一人一人に効果的な薬剤をどう選ぶかこそが、糖尿病専門医である私の腕の見せどころです。どうしてその薬剤を選んだのかを患者さんに説明すると同時に、患者さんの薬物療法について持つ考えも十分にお聞きし相談したうえで、最終的に治療法を決定していきます。
自己注射を行っている方は血糖自己測定が保険で適応され、使用することができます。間歇スキャン式持続血糖測定については、糖尿病の型に関わらず、強化インスリン療法を行っている方、もしくは強化インスリン療法を行った後、混合型インスリン製剤を1日2回以上打っている方は保険適応となっています。詳細については当クリニックまでご相談ください。
フットケア
糖尿病患者の増加や高齢化社会に伴い、足病変が増えています。その原因として、神経障害・血流障害・免疫力の低下が挙げられます。
糖尿病の足病変の主な症状は、
- 足の傷が治りにくい
- 足指の感覚が鈍くなる
- 足先の血行不良(冷え)
- 水虫などの感染症にかかりやすくなる
適切なケアを行うことで下肢切断の80%が予防できるといわれています。
当院ではフットケア外来を行っています。
フットケア外来では、患者さんの足の状態を観察し、足浴や爪切りを行います。また必要ならタコや魚の目の処置も行います。
また、足のセルフケアの方法を一緒に考えていきます。
かみうち内科クリニックに通院中の糖尿病患者さんで、下記の診断を受けている方が対象です。
- 糖尿病性神経障害
- 閉塞性動脈硬化症
- 下肢や足趾を切断したことがある方
- 足の潰瘍治療歴のある方
詳しく知りたい方はぜひご相談ください。足病変とフットケアについて詳しく知りたい方は、公式ブログをご参照ください。
訪問リハビリ
糖尿病をはじめとする慢性疾患を持つ方(要介護者)に対して、主治医が必要と判断した場合に、理学療法士が自宅に訪問しリハビリテーションを提供します。よりよい日常生活・健康な身体を目指すため、実際の生活環境、日常生活動作を評価し適切な運動の指導を行うサービスとなります。
かみうち内科クリニックでは経験豊富な医師・看護師・管理栄養士・理学療法士が糖尿病の専門資格を保持しており、リハビリテーションに関わる幅広い治療や情報提供が可能です。また、他クリニックや病院、地域と連携し包括的な関わりをもって治療を行います。
運動習慣の獲得
運動継続に向けて、ご本人の体に合わせて生活習慣にあったアドバイスをいたします。
環境調整
運動が行いやすい環境調整を行います。運動を強制させることはありません。
練習や指導
無理のない範囲のプログラムで体に負担の少ない運動療法の練習や指導を行います。
多疾患のリハビリ
糖尿病以外にも運動器・呼吸器・脳血管・廃用症候群など多疾患のリハビリが可能です。
医院概要
-
住所
- 〒604-8416
京都市中京区西ノ京星池町222 -
電話番号
- 075-823-8686
-
院長
- 神内 謙至
-
診療科目
- 内科・糖尿病内科
-
アクセス
- 地下鉄 二条駅出口①③より徒歩3分
当院は予約診療です。