糖尿病と運動 1/14

一般的に体重が減るということは健康にいいと考えられています。しかし、体重が減っても脂肪量ではなく、筋肉量が減ってしまうと本当に大丈夫なのでしょうか。

この報告は、健康な男女に対して、BMI(肥満度)が増えた場合、変わらない場合、減った場合に分け、死亡率を見たことに加えて、もう一つの軸、心肺機能の増減を加えて、二つの軸で死亡率を見たものです。

下の図より、心肺機能が増えた方や変わらない方は、BMIが減ったほうが死亡率は下がる傾向になるようですが、実は死亡率が最も高かったのは、BMIが減り、さらに心肺機能が下がった方のグループなのです。つまり、このグループは筋肉量が減ったために体重が減ったと考えられます。

運動の重要性が明確にわかる報告だと思います。

最近、高齢者糖尿病の方に尿糖排泄薬であるSGLT-2阻害薬の処方を勧める医師が多くなってきています。高齢者でも食事量が十分あり、日常的に運動をされている方は大丈夫だと思いますが、食事量の少ない方、ほとんど運動されていない方、例えば心臓の疾患のある方、脳梗塞後の方などはSGLT-2阻害薬を内服することで、筋肉量が減ってしまうということになりかねません。高齢者糖尿病の方にSGLT-2阻害薬の服用は注意が必要だと思います。

(Lee DC, et al. Circulation. 2011 124:2483-90.)

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