かみうち内科クリニック(内科・糖尿病内科)院長 神内 謙至です。
「リブレという機械を勧められたが、どういうものか分からない」「指先の測定とは何が違うのか」。インスリン治療を受けておられる方から、こうしたご質問をいただくことが増えてきました。
持続グルコース測定(CGM:Continuous Glucose Monitoring)は、腕などに貼ったセンサーを使う測定方法です。間質液中のグルコース値を連続して測り、血糖の変化を把握します。本稿では、CGMでわかること、代表的な機種の特徴、保険で使える条件と使うときの注意点について解説いたします。
持続グルコース測定(CGM)とは
CGMでは、二の腕やお腹に小さなセンサーを装着します。センサーからは髪の毛ほどの細く柔らかい部分が皮膚の下に入り、皮下の組織の間を満たしている「間質液」のグルコース(ブドウ糖)の値を、数分おきに自動で記録します。血液中の血糖値を直接測っているわけではなく、間質液のグルコース値から血糖の変化を把握する仕組みです。
これまでの血糖自己測定(SMBG:指先から少量の血液をとって測る方法)は、測ったその瞬間の値しか分かりません。また、HbA1c(過去1〜2か月の血糖の平均を反映する指標)は、平均は分かっても1日の中での上がり下がりは分かりません。CGMは、この「測っていない時間の血糖の変化」を把握できる点に大きな特徴があります。
ただし、間質液のグルコース値は、血液中の血糖値に比べて数分から10分ほど遅れて変化します。食後や運動中など、血糖が急に動いている場面では、指先で測った値と差が出ることがあります。
CGMでわかること
食後の血糖の上がり方
同じ食事でも、血糖の上がり方はその時々で変わります。CGMでは、何を食べたときに、どのくらい、どのくらいの時間上がっているのかを確認できます。食後の血糖の考え方は、食後血糖値の記事で解説しています。
夜間や早朝の低血糖
眠っている間の低血糖は、ご本人が気づかないまま起きていることがあります。CGMでは夜間の記録が残るため、自覚症状のない低血糖や、明け方の血糖の上昇を見つけることができます。低血糖の基本的な知識は、低血糖の一般的知識の記事をご覧ください。
TIR(Time in Range)という指標
CGMが使えるようになり、TIR(目標範囲内にある時間の割合)という新しい指標が用いられるようになりました。一般的には、グルコース値が70〜180mg/dLの範囲に入っている時間の割合を見ます。HbA1cが同じでも、TIRが高い方と、上下の変動が大きい方とでは、状態が異なることがあります。詳しくは、HbA1cだけではない血糖コントロールの指標の記事でまとめています。
CGMの種類
現在、国内ではいくつかのCGMが使われています。代表的なものをご紹介します。
フリースタイルリブレ
センサーを二の腕に装着し、専用の読み取り機やスマートフォンで数値やグラフを確認するタイプです。14日間使用することができ、保険で処方を受ける場合には1ヵ月に2個処方可能です。操作が比較的簡単で、国内で広く使われています。リブレ2が日本で使用できるようになってからは、低血糖や高血糖を知らせるアラームが設定可能となりました。
Dexcom(デクスコム)
センサー装着部位は二の腕以外にも腹部(7歳以上)、上部臀部(2-6歳)も可能です。測定した値が数分ごとに自動でスマートフォンや専用の受信機に送られ、画面で確認できるタイプです。10.5日使用することができ、保険で処方を受ける場合には1ヵ月に3個処方可能です。低血糖や高血糖を知らせるアラーム機能を備えており、また、センサーグルコース値を較正することが可能です。現在使用できるdexcom G7はリブレ2と比較して小型です。
インスリンポンプと連動するタイプ(ガーディアンセンサ4)
インスリンポンプとCGMを組み合わせ、センサーの値に応じてインスリンの量を自動で調整する仕組みもあります。詳しくは、インスリンポンプminimed780Gの特徴の記事で解説しています。
いずれの機種にも、見やすさ、アラーム機能、センサーの交換の頻度など、それぞれに特徴があります。どの機種が合うかは、治療の内容や生活の状況によって異なるため、診察の中で一緒に検討していきます。
保険で使える条件
CGMを保険診療で使えるかどうかは、糖尿病の種類、治療の内容、使用する機器などによって条件が異なります。主な対象は、インスリン治療を行っている方です。インスリンを使用せず、糖尿病治療を行っている方はお試しに使用することが可能です。
また、保険で使用できるCGMは、国が定める基準を満たし届け出をした医療機関に限られるものがあります。希望するCGMが保険で使用可能かどうかは、診察時にご相談ください。
使うときの注意点
① 皮膚のトラブルに気をつける
センサーを貼る部分に、かぶれやかゆみが出ることがあります。貼る場所を毎回少しずつずらし、赤みが続く場合はご相談ください。
② 数値に違和感があれば指先で確かめる
体調と数値が合わないとき、低血糖の症状があるのに数値が高いときなどは、指先で血糖を測って確認します。数値だけで判断せず、症状を大切にしてください。Dexcom G7は較正が可能ですが、較正を1日に何度も行うと、かえって精度が落ちることがあります。グルコース値が変動をしていない時間帯で較正するのが好ましいでしょう。
③ 検査の前には装着していることを伝える
MRIやCTなどの検査を受ける際の取り扱いは、機種によって異なります。センサーを外す必要があるかどうかも含めて、検査を受ける医療機関に事前にお伝えください。なお、リブレ2についてはCTやMRIでも装着したまま検査可能となっています。
なお、センサーが外れた、数値が表示されないといったトラブルについては、リブレが故障したかも?と思ったときの記事で対処法をまとめています。
【京都】持続グルコース測定をご検討の方へ
当院は京都市中京区、地下鉄東西線二条駅から徒歩3分の場所にあります。持続グルコース測定を診療に取り入れており、リブレ2やDexcomG7をはじめ、インスリンポンプと連動するタイプ(ガーディアンセンサ4)と日本で使用可能なすべてのセンサーから、患者さんの治療内容やご希望に合わせて選んでいます。記録されたデータは診察時に一緒に確認し、インスリンの量や打つタイミング、食事の内容の見直しにつなげています。
持続グルコース測定については、1型糖尿病外来のページでもご案内しています。
専門医として伝えたいこと
持続グルコース測定は、血糖を「点」ではなく「線」で見ることを可能にしました。これまで分からなかった夜間の低血糖や食後の上がり方が見えることで、治療の調整がよりきめ細かくできるようになっています。一方で、数値だけに振り回されず、症状や体調とあわせて判断することも大切です。
当院では、私自身も1型糖尿病があり、インスリンポンプ療法を続けながら血糖管理を行っています。また、日本糖尿病学会専門医として、糖尿病診療に取り組んでいます。
CGMを使ってみたい方や、現在使用している機器について相談したい方、血糖値の変化について気になることがある方は、お気軽にご相談ください。
かみうち内科クリニック 院長 神内 謙至


