かみうち内科クリニック(内科・糖尿病内科)院長 神内 謙至です。
フリースタイルリブレは、皮下に装着したセンサーでグルコース値を持続的に測定できる機器で、糖尿病の血糖管理に広く活用されています。便利な反面、「値が表示されない」「実際の血糖値と違う気がする」「エラーが出た」といったトラブルに直面し、不安になる方も少なくありません。
ただ、こうしたトラブルの多くは、慌てて新しいセンサーに交換する前に、いくつかのポイントを確認することで解決できる場合があります。本稿では、よくあるトラブルとその確認手順、メーカーへの問い合わせ方法、そして主治医に相談したほうがよいケースについて整理します。
なお、本稿は一般的な確認の流れを解説するものです。製品の正式な取り扱いや最新の手順については、必ずメーカーの公式情報をご確認ください。
「故障」とは限らない
トラブルの際にまず知っておいていただきたいのは、値がおかしいからといって、必ずしもセンサーの故障とは限らないということです。
フリースタイルリブレが測定しているのは、血液そのものの血糖値ではなく、皮下の間質液に含まれるグルコース値です。間質液のグルコース値は、血液中の血糖値からやや遅れて変化する性質があります。そのため、血糖値が急激に変動している場面では、リブレの値と実際の血糖値にズレが生じやすくなります。
たとえば、食後で血糖値が急上昇しているとき、運動の前後、低血糖からの回復時などは、両者の差が大きくなりがちです。これは機器の不具合ではなく、間質液という測定対象の性質によるものです。
したがって、「値がおかしい」と感じたときは、すぐに故障と判断するのではなく、まず血糖自己測定(指先などの血液による測定、SMBG)で実際の血糖値を確認することが大切です。特に、低血糖が疑われる症状があるのに値が信用できない場合は、必ず血糖自己測定で確かめてください。治療上の判断は、確実な値に基づいて行う必要があります。
よくあるトラブルと確認ポイント
ここからは、具体的なトラブルごとに確認すべきポイントを見ていきます。
値が表示されない・読み取れない
スマートフォンのアプリで読み取れない場合、次の点を順に確認してみてください。
● Bluetoothがオンになっているか:オフになっていると通信できません。 ● アプリが最新のバージョンになっているか:古いバージョンだと不具合が生じることがあります。 ● センサーとスマートフォンの距離が近いか:離れすぎていたり、間に遮蔽物があると読み取れないことがあります。スマートフォンのケースが影響する場合もあります。 ● 機種変更をしていないか:センサー起動時とは別のスマートフォンでは読み取れないことがあります。
専用の読み取り機(Reader)を使用している場合は、本体の充電や動作状況も確認してください。
「センサーを確認」などのエラーが表示される
エラーメッセージが表示された場合は、まず少し時間をおいてから、再度読み取りを試してみてください。それでも改善しない場合は、センサーが正しく装着されていない可能性があります。センサーが剝がれかけていないか確認しておきましょう。再度同じエラーが出る場合は、センサー側の問題が考えられます。
値が明らかに実際とずれている
前述の間質液の性質に加えて、次のような要因でも値がずれることがあります。
● 装着直後:センサーを装着してから安定するまでに、しばらく時間がかかることがあります。 ● 圧迫:就寝中にセンサーを装着した腕を下にして体重がかかると、一時的に低い値が出ることがあります(圧迫低値)。 ● 脱水やむくみ、その他の身体の状態:間質液の状態が変化し、値に影響することがあります。
いずれの場合も、最終的な確認は自己血糖測定で行うのが確実です。
センサーが外れた・剥がれかけたとき
センサーが完全に外れてしまった場合、そのセンサーを再び装着して使うことはできません。センサーは単回使用の製品のため再装着は不可能です。
剥がれかけている程度であれば、上から医療用の固定テープなどで保護することで使用を続けられる場合がありますが、正しい値が出なくなる可能性もあるため、血糖自己測定で確認しておきましょう。また、無理に固定して皮膚に負担がかかるようであれば中止してください。入浴、運動、睡眠などで剥がれやすい方は、あらかじめ固定を補強しておくと予防につながります。
装着部位に異常があるとき
トラブルの中でも、装着部位の皮膚に異常がある場合は特に注意が必要です。
装着している部位に、発赤、かゆみ、痛み、腫れ、出血などが見られる場合は、我慢して使い続けないでください。センサーを取り外し、使用を中止したうえで、医師に相談することが大切です。皮膚トラブルを放置すると、症状が悪化したり、感染につながったりするおそれがあります。
便利な機器であっても、体に異常が出ているサインを無視してまで使い続けるべきではありません。
それでも解決しないとき – メーカーへの問い合わせ
確認や対処をしても改善しない場合、また明らかにセンサーが正常に動作していないと考えられる場合は、メーカーであるアボットジャパンのお客様相談窓口へ問い合わせるのがよいでしょう。
ぶつけた、自分で外してしまったなど明確な原因がない不具合については、故意や過失によるものでなければ、無償で新しいセンサーに交換してもらえる場合があります。「高価だから」と自己判断で諦めず、まずは問い合わせてみることをおすすめします。
問い合わせの際には、対応をスムーズに進めるために、次のものを準備しておくと役立ちます。
● センサーのシリアル番号 ● センサーの装着状況(装着部位、使用日数など) ● 使用しているアプリやスマートフォンの情報 ● 通院している医療機関名
また、不具合が起きたセンサーやアプリケーターは、捨てずに保管しておいてください。交換対応の際に、返送を求められることがあります。
主治医に相談したほうがよいケース
メーカーへの問い合わせとは別に、次のような場合は主治医にも相談することをおすすめします。
● トラブルが繰り返し起こる ● 装着部位の皮膚トラブルが続いている ● 値が信用できず、血糖管理に支障が出ている ● リブレの値をもとにしたインスリン量などの調整に不安がある
フリースタイルリブレのようなCGM(持続グルコース測定)機器は、正しく使えば血糖管理を大きく助けてくれますが、得られた値をどう治療に生かすかは、専門的な判断が必要な場面も少なくありません。CGMの扱いに慣れた糖尿病治療の医療機関であれば、機器のトラブルへの対応だけでなく、データの読み解き方や治療への生かし方についても相談に応じることができます。
慌てず、順番に確認を
フリースタイルリブレに「故障かも?」と感じるトラブルが起きても、その多くは、確認と対処によって解決できるものです。
大切なのは、慌てて判断せず、順番に確認していくことです。値がおかしいと感じたらまず血糖自己測定で確かめる、読み取れないときは通信環境を確認する、皮膚に異常があれば使用を中止して医師に相談する、解決しなければメーカーや主治医を頼る。この流れを知っておくだけで、いざというときに落ち着いて対応できます。
血糖管理に直結する機器だからこそ、不安なときは一人で抱え込まないことが大切です。フリースタイルリブレの使い方やトラブル、CGMを使った血糖管理について気になることがあれば、一度ご相談ください。当院では、私自身が1型糖尿病であり、インスリンポンプ療法やCGMを用いた治療にも対応しています。また、糖尿病専門医も取得しております。機器の活用から日々の血糖管理まで、患者さんお一人おひとりの状況に応じた対応を心がけています。
糖尿病内科の受診を検討されている方は、こちらの記事もご参照ください。 [リンク:https://kamiuchidm-clinic.com/blog/?p=3896]
なお、当院ではリブレのほかにdexcom G7も取り扱っております。上記注意点はリブレもdexcom G7もほぼ同様であると考えていただいて結構ですが、相違点としては、現在リブレ2は14日間使用可能で月に2個処方できますが、dexcom G7は10.5日間使用可能で月に3個処方できます。センサーの値と血糖自己測定器の値のずれが大きい場合、dexcom G7では較正することが可能です。サイズもdexcom G7のほうが小さくなっています。興味ある方は気軽にご相談ください。
かみうち内科クリニック 院長 神内 謙至


