かみうち内科クリニック(内科・糖尿病内科)院長 神内 謙至です。
「血糖値は高めだけれど、特に症状はない」という方から、合併症について尋ねられることがよくあります。糖尿病の合併症は、自覚症状がないまま進行することが多く、気づいたときにはすでに進行しているケースも見られます。本稿では、糖尿病の合併症のうち、網膜症・腎症について、その仕組みと予防のために知っておきたいことを整理いたします。
なぜ糖尿病で合併症が起こるのか
血糖が高い状態が続くと、体の中の細い血管(細小血管)に負担がかかります。特に目の網膜、腎臓の糸球体、足先の末梢神経は、細い血管が集中している部位であり、この3つは糖尿病の三大合併症と呼ばれています。神経障害とフットケアについては別の記事で詳しく解説しておりますので、本稿では網膜症・腎症を中心にお伝えします。
糖尿病性網膜症とは
糖尿病性網膜症は、網膜の細い血管が高血糖の影響を受けて変化していく病気です。初期の段階では、視力の低下といった自覚症状はほとんど現れません。進行すると、出血やむくみが生じ、視力に影響が及ぶことがあります。
網膜症は自覚症状が出た時点ではすでに進行している場合もあるため、糖尿病と診断された方は、症状の有無にかかわらず、定期的に眼科での眼底検査を受けることが勧められています。当院にご通院の方には、眼科への受診状況もあわせて確認するようにしています。
糖尿病性腎症とは
糖尿病性腎症は、腎臓の糸球体という細かいフィルター構造が、高血糖の影響で徐々に変化していく病気です。初期には尿中にごくわずかなアルブミン(微量アルブミン尿)が検出されるようになり、進行すると尿蛋白が増え、腎機能(eGFR:推算糸球体濾過量)の低下につながることがあります。
腎症も、初期の段階では自覚症状に乏しいという特徴があります。むくみや倦怠感などの症状が出てくるのは、ある程度進行してからであることが多く、定期的な尿検査・血液検査での確認が重要になります。
合併症を防ぐために今からできること
合併症の予防で軸になるのは、血糖・血圧・脂質の管理と、定期的な検査です。HbA1cだけでなく、眼科での眼底検査、尿検査・腎機能検査を定期的に行うことで、変化の兆しを早い段階でとらえることができます。
体質的に血糖が上がりやすい方が、食事や運動のコントロールだけで完全に血糖が正常化するわけではありません。バランスのいい食生活をしていても、運動の習慣があったとしても、血糖が上がってしまう体質を持った方は確実に存在します。血糖を下げやすくする生活の工夫と、必要に応じた薬の助けを組み合わせながら、無理のない範囲で続けていくことが現実的な向き合い方だと考えています。
生活習慣病についての考え方も、あわせてご参照ください。
【京都】合併症予防のための当院での検査体制
当院は京都市中京区、地下鉄東西線二条駅から徒歩3分の場所にあります。糖尿病でご通院の方には、HbA1cをはじめとした定期的な血液検査に加え、眼科・腎機能に関する検査状況の確認を組み合わせてご案内しています。日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン」も、合併症の早期発見のための定期検査の重要性が示されています。
専門医として伝えたいこと
合併症は、症状が出る前の段階で見つけることができれば、進行を緩やかにする対応の幅が広がります。「症状がないから大丈夫」ではなく、「症状がないからこそ検査で確認する」という考え方を持っていただければと思います。
また、網膜症・腎症ともに発症や進行を防ぐ治療方法がこれらの病期ごとにあります。一人ひとりに網膜症や腎症の病期を精査し、その病期に合った治療方法を説明していきます。私自身が1型糖尿病であり、糖尿病専門医も取得しております。もし他のクリニックさんで合わないと感じられた方もぜひお気軽にお越しください。気になる症状がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
かみうち内科クリニック 院長 神内 謙至


