糖尿病と運動 14/14

まとめです。

1型、2型に共通して、有酸素運動は効果的に血糖を下げることになります。食前より食後のほうが血糖低下作用は強いです。また、運動後しばらくは血糖低下作用が続きます。一方、無酸素運動の場合、食後のほうが血糖低下しやすいですが、有酸素運動に比べて血糖低下作用は乏しいです。しかし、無酸素運動によって筋肉量が増えていくと血糖が下がりやすい体質が獲得されることになります。

インスリン自己分泌の枯渇した1型糖尿病の場合、上記の特徴が強く現れるため、運動による血糖コントロールは難しいことがあります。運動のタイプや強度・時間、いつ運動するのかによってインスリンの減量方法が異なりますが、技術を取得すればどのような運動も可能です。強い長時間の運動でインスリンの量を減らしすぎるとケトーシスを起こしてしまう可能性があるため、特に残存インスリンがない食前の運動の際は、インスリン減量は控えめにして、血糖が下がるときには補食で対応をするのが良いでしょう。また、強い運動の場合、運動後も血糖低下作用があるため基礎インスリンをしばらく減らしておく必要があります。

2型糖尿病の場合、低血糖のリスクのある薬剤(インスリン・スルホニル尿素薬・グリニド薬)を使用していなければ、低血糖の心配はほぼありません。このような薬剤を使用しているのであれば、1型糖尿病ほど顕著に血糖の変動が出るわけではないですが、変動の傾向は同じです。これらの薬剤の減量をすることで低血糖リスクを減らすことができます。

運動をするとすっきりしたと思いますよね。運動は楽しいことなのです。これは糖尿病治療として大きなメリットです。食事療法や薬物療法をやっても楽しくはないですが、運動療法は楽しいものなのです。

適切な運動は病態や年齢など個人差が大きいのですが、やってみたあとに、体調がいい/楽しかった/今後も続けたい、と思えるような運動はその人にとって適切だと言えます。

今、運動をしていないという方は、ぜひ少しずつ始めてみませんか。糖尿病を持ちながら運動するときのコツや注意点を、かみうち内科クリニックでは1型・2型にかかわらず、具体的に個別に説明していきます。