糖尿病の血糖コントロールが良くならないとき

一般的に、病気が良くならないとき、患者さんは主治医に文句を言います。一方、糖尿病治療においてHbA1cが高くなってしまうと、患者さんのなかには主治医に謝るかたがおられます。これはおかしい。コントロールが改善しないのは主治医に責任があると思います。

例えば、糖尿病患者の外来での診察を自己中断してしまうことが糖尿病臨床を行う医療従事者のなかで問題となっていますが、病院での教育入院後初めての外来受診で糖尿病療養指導士による、30分の療養指導を行うと、中断率が下がるという報告があります。外来受診されなかった患者さんに、一人ひとり電話をかけて呼びかけるという方法もあります。

血糖コントロールが良くならないとき、当然、食事や運動の見直しをしていくことが重要ではありますが、患者さんの生活の中で、変更を行うことが難しい状況であることがあります。あるいは、もうすでに頑張っておられ、これ以上の変更はできないという方もおられます。そんなときには薬物療法という治療法が残っています。内服だけでなく注射剤もあります。ゆっくり話を聞いてみると食事や運動の中で、まだできそうなことが残されていることもあります。

中断してしまったり、食べ過ぎている、運動できていないと言ったりする患者さんが悪いといってしまえばそれまでですが、何かできることがないかを患者さんと一緒に一所懸命考えていくのが糖尿病治療を行う医療従事者の義務であると考えています。