患者と主治医の関係がうまくいかないとき

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

糖尿病患者にとって、日常生活での行動変容が必要になることが多々あります。食事内容を変える・塩分を控える・運動をする・薬を飲む、などです。禁煙することも必要となります。糖尿病外来では、このような助言を聞くことが多いと思います。

一般的に、行動変容を起こすには二つの条件が必要とされています。それは

《重要性》 …この行動変容を起こすと何かいいことがある

《自信度》 …この行動変容が自分は十分できそうだと思う

この二つがないと行動変容は起きないのです。

十分にできそうなことでも、何かメリットを感じないと変えようとは思わないし、すごく大事なことでも、到底できそうになければ変えようとは思わない。当然といえば当然ですね。

主治医から、行動変容を促されることは結構あるものですが、患者は重要性と自信度があって初めて行動を変えようと思うのです。でも、指示をだす医療従事者は、行動変容を起こさない原因は重要性の問題に限られると考える傾向があります。つまり、行動を変えようとしない患者を「重要性を分かっていない」と思うのです。そしてそういう患者に対して、いかにこの行動が大事なのかもっと説明しないといけないと思うのです。一方、患者側からすると行動変容を起こさない理由は自信度の問題であることが多いとの報告があります。そのため患者はうんざりしてしまいます。最悪の場合、受診中断してしまうこともあるのです。

患者が主治医との関係がうまくいかない理由の一つにこの考え方の「ずれ」が挙げられます。糖尿病専門医は注意が必要ですね。