糖尿病の病名の由来 4/6

「扶氏經驗遺訓」と同じ1857年に発刊された「察病龜鑑」には、

「舎蜜(セイミ)術の撿査をなすこと往々これあり.(中略)溺中の糖質を撿査すること蜜尿病看識に頗る緊要たり.」

と「蜜尿病」が出現します。

「察病龜鑑」はHufeland のEnchiridion medicum 診断編のHageman のオランダ語訳からの青木浩斎による重訳です。
「Enchiridion medicum」の‶diabetes mellitus”を緒方洪庵が「蜜尿證」と訳し、のちに青木浩斎が「蜜尿病」と訳したと考えられます。Hageman によるオランダ語訳には診断編、治療編ともに‶diabetes mellitus”, ‶pisvloed”と記載されているため、緒方洪庵と青木浩斎の訳の違いは日本での翻訳年の差によると推測されます。

(羽賀達也他. 糖尿病49. 633-635: 2006より)