糖尿病と運動 8/14

1型糖尿病で、強度の強い運動を長時間した時(例えば、ハイキングで一日歩いた/運動会などで一日張り切った/ハーフマラソンやマラソンなど)は、基礎インスリンの減量が必要です。どれぐらいの減量が必要かは、食前のインスリンと同じく、普段の運動量で変わってきます。普段から運動量が多い方であれば、ある程度の運動をしたときでも基礎インスリンはほとんど減らす必要がないでしょう。しかし、普段運動をしていない人が、突然強い運動をしたときには基礎インスリンはかなり減らす必要があります。

しかし、1型糖尿病でポンプを使用している場合、残存インスリンがない状態で基礎インスリンを0%にするなど極端に減らすのは1時間までです。それよりも長く基礎インスリンを減らす際は、普段の60%よりも減らさないようにして、血糖が下がるなら補食で対応してください。ペンを使用している場合に持効型インスリンを減らす場合でも同様に、普段の60%よりも減らさないようにしてください。減らしすぎると、ケトンが上昇してしまい(ケトーシス)、悪心・嘔吐などの症状が出てきます。さらに進行すると、運動によって血糖はそれほど上がっていないのにアシドーシスを起こしてしまう、正常血糖ケトアシドーシスを発症するリスクが出てきます。

1型糖尿病で、運動中に悪心のような症状が出た場合、まずは血糖測定をします。高血糖や低血糖であればその対処を行います。しかし、高血糖/低血糖でないにもかかわらず、症状がある場合にはケトーシスを起こしている可能性を考え、すみやかにスポーツドリンクなどで糖質を30g程度とり、追加インスリンを打つという対処を行ってください。当然、運動は禁止です。強い長期間の運動をしてインスリンを減らしすぎたときにケトーシスが出現することが多く、運動中だけでなく、運動後にも出現することがあります。症状改善しない、あるいは強くなるようなら、速やかに医療機関を受診するようにしてください。