低炭水化物食については、近年メディアがよくアピールをしています。炭水化物は血糖の上昇に大きく作用するため、それを減らすという方法は血糖が安定し、さらに体重が減ることが多く、緩やかな低炭水化物食は有効だと思います。しかし、長期的な食事療法としての遵守性や安全性など重要な点についてこれを担保するエビデンスが不足しており、また、炭水化物を制限した結果、タンパク質や脂質の量が増えてしまう、もしくは塩分量が増えてしまうリスクもあります。糖尿病の合併症である腎症が進行している場合、タンパク質や塩分が増えてしまうことが、腎機能が低下してしまうリスクとなります。
さらに炭水化物のみを極端に制限するということは、米やパン、麺類といった穀物類だけでなく、果物や野菜、豆類などの食品を控えなければならず、ビタミンなどの栄養素の摂取不足が懸念されます。極端な低炭水化物食は現時点では薦められないと日本糖尿病学会から提言されています。