三大栄養素の中で血糖に最も影響を及ぼすのは炭水化物です。カーボカウントは食事中の炭水化物が血糖にどんな影響を与えるかを知り、食事に合わせてインスリンを適切に打つことで血糖コントロールを行うという考え方で、カロリーの制限や炭水化物量の制限を勧める食事療法ではありません。また、カーボカウントにはタンパク質や脂質を規定する確立した方法はありません。
一方,食品交換表を用いた栄養指導は,五大栄養素と摂取エネルギーを理想的に摂るために考えられ,日本人の食習慣に根ざした食事療法で,体調を整え,体重コントロールを行うという考え方です。健康的な食事管理という観点としてみれば、食品交換表を用いた方法が好ましいことは疑いようのない事実ではあります。
しかし、食事というものは単に健康を目的に摂取するだけのものではありません。ストレスがたまったときにその発散のため、接待や飲み会など社会生活を円満に行う手段として、おいしいものをただ食べたいという楽しみのためなど、日常の様々な状況で食事はいろいろな役割を果たしています。そのような現実生活の中で、食品交換表にもとづくバランスの取れた食事のみ摂っていくことは不可能に近いと思います。