- 胃不全麻痺
迷走神経障害により胃排泄遅延を合併した場合、炭水化物の吸収遅延を来たします。胃内容の停滞が12時間以上にも及ぶ場合があります。胃排出速度に変動があり血糖コントロールは困難となるため、超速効型よりも速効型インスリンが好ましいです。ポンプの場合は追加インスリンはノーマルで打たずデュアルもしくはスクエアで打ちます。 - アドレナリン分泌
緊張・ストレス時、アドレナリン分泌により血糖の急上昇を来たすことがあります。今のところ、これに対する血糖コントロールの調節方法についての報告はありません。経験的には、少量の追加インスリンを血糖をモニターしながら繰り返し投与するのがいいと思われます。一度に多くの追加インスリンを打ってしまうと、アドレナリン分泌が落ち着いたときに急激に血糖は下がってしまうので注意が必要です。 - ポンプ刺入部の経過時間
ポンプを利用している場合、ポンプの刺入部は3日ごとに交換しますが、時間がたつとインスリンの効きが落ちてきます。ポンプ刺入1日目より3日目が明らかな血糖上昇を認めるとする報告があります。 - 炭水化物量・質
炭水化物量に合わせて追加インスリンを打つカーボカウントの考え方が重要になりますが、インスリンの量を適切に決めるのは実際困難なことも多く、血糖は変動することがあります。また、炭水化物の質によっても血糖は大きく変動します。玄米など食物繊維の多く含む食品では血糖は緩やかに上昇し、ブドウ糖やショ糖などでは急激に上昇します。
細かいものも挙げればきりがありません。
上のような血糖の変動は1型の場合に顕著に表れますが、2型でも考え方は同じです。