早期糖尿病性腎症を合併する2型糖尿病患者において,集中的多因子治療の全死亡および心血管死に対する有効性を検討したものです。集学的多因子治療とは、血糖コントロールに加えて血圧、脂質のコントロールそして、食事療法や運動療法などのカウンセリングも行い、チームで治療を行うことです。
HbA1c<6.5%、総コレステロール<175mg/dl、中性脂肪<150mg/dl、血圧<130/80mmHgを目標として介入治療を行った強化療法群と、普通の治療を行った標準群で比較を行いました。強化療法群67例,標準療法群63例で行いました。
1993年試験開始、2001年介入試験終了。その後、強化療法群と標準群は治療方針を主治医との相談で行い、二つの群で血糖・血圧・脂質のデータは差がなくなりました。2006年12月31日試験終了し、結果を報告したのです。試験期間(13.3年)における全死亡は,強化療法群24例,標準療法群40例と大きな差が認められました。
また、介入が終了し、2群でデータの差がなくなった後も死亡率に差を認めていたのです。同様に心血管イベントにも有意な差を認めました。legacy effectはここでも認められたのです。
対象とした患者の人数が少ないのは問題ですが、それでも死亡率、心血管イベントのリスク低下が大きく認められたことは意義深いです。2型糖尿病の場合、血糖コントロールだけでなく、脂質・血圧のコントロールをしっかりすることで、その後の合併症のリスクが大きく減少する可能性を示唆した報告です。
日本語での説明はこちら
https://www.ebm-library.jp/diabetes/trial/detail/51053.html
(Gaede P, Lund-Andersen H, Parving HH, Pedersen O: Effect of a multifactorial intervention on mortality in type 2 diabetes. N Engl J Med 2008; 358: 580-591.)