この報告は、小児期に発症した若年の1型糖尿病患者(1型糖尿病群)を対象に、幸福度のアンケート、精神疾患罹患率、学校教育終了率を調べました。そして、現在病気を持っていない若年の健康人(コントロール群)に同様の調査をしたのです。
結果、1型糖尿病群はコントロール群と比較し幸福度に有意差は認めませんでしたが、精神疾患罹患率が高く、学校教育修了率が低かったのです。つまり、1型糖尿病を持った若い方は、アンケートでは幸福度は健常者と変わりなかったのですが、実際には心療内科にかかることが多かったり、学校教育終了率が低かったりしたのです。学校教育終了率が低いというのは驚きですが、この調査は日本ではなくオーストラリアで行われたので、環境が違うのかもしれません。
この論文にはこのように書かれてあります。
ヤング1型糖尿病患者は思春期の混乱期を過ぎると生理学的、心理的に安定すると考えられているが、自分自身は周りの健常者と同じようになりたいという思いから、実際に存在する困難を否定したり、過小評価したりする可能性もある。
まさにその通りです。私自身が若いころそのように考えていました。
(Northam EA, et. al.Diabetes Care. 2010:1430-7)