サンフランシスコでの糖尿病臨床見学 その3

UCSFではインスリンワークショップというのを開いていました。日本での教育入院のようなものです。アメリカでは教育を入院で行うのは医療費がかかりすぎるので外来で行われるのです。患者さんは1型、2型いろいろな方が参加されて、朝10時から昼の3時頃までみっちり講義があり、それが3日間開かれるのです。まず、糖尿病療養指導士から、糖尿病について、食事・運動について、インスリンや低血糖の話、糖代謝の話、脂肪酸の話、また心理について、家族の役割の話など講義内容は素晴らしいものでした。すべて参加型の講義でした。

私が一番印象に残ったのは、昼食はフードコートで、自分で食材を選ぶ、つまり食べ放題で食べるのです。私自身、何を食べたらいいか栄養士さんに聞いてみると、“Anything you like! (好きなものを選んでいい)”と言われるだけなのです。

ほかの患者さんを見ていると、一人が皿の上に果物だけを山のように取ってきました。私は「講義で食事のとり方を学んだやないか!」と思いましたが、栄養士がこの患者さんにどう説明するか興味があったのでそのまま観察していると、その果物だらけの皿を見て「この中の炭水化物はいくら? それならインスリンはどれだけ打ったらいい?、OK!」

とそれだけなのです。

日本では、こういう時には食事のとり方を必ず指導し、改めるでしょう。そもそも食べ放題では昼食をとらず、健康にいい食事があらかじめ用意されているでしょう。でもアメリカの方針では、食事のとり方は講義でしっかり勉強するけれども、実際、食事を選ぶのは患者さん本人の自由なのです。あとでその栄養士さんに質問してみましたが、日常生活では患者さんが食事を選ぶのだから、決められた食事を出すだけでは意味がない、というのです。衝撃でした。

どちらがいいのかは難しいです。私自身、日本流とアメリカ流をたして二で割ると一番いいと感じます。日本の糖尿病治療もいいところがたくさんあることに気づきましたが、もう少し、自由があったほうがよりよくなるだろうと思いました。

この考えが今でも自分の糖尿病治療の考え方に根付いています。