高齢者糖尿病について

たとえば80歳の方であれば、平均寿命から考えると十分生きてきたわけなのですが、平均余命(つまり80歳の方があと何年生きられるか)を考えると、男性8.66年 女性11.86年(平成21年 厚生労働省)と実はあと約10年は生きることが普通なのです。80歳の糖尿病患者さんに対して医師としていい加減な治療をしていると合併症はやはり起きるリスクが高くなります。

ただ、高齢者の糖尿病治療の注意点としては
・認知症やその他の慢性疾患を抱える割合が高くなり、自己管理が困難になること。
・低血糖・高血糖などの自覚症状が乏しくなること。
・家族のサポートの負担が増えること。
・高齢者における治療のエビデンスが乏しいこと。
などの理由で、治療目標を決めるのが困難になることがあります。ただ、それでもある程度の治療目標は主治医として本人や家族とともに決めていく必要があります。本人がしっかりした治療を希望されるなら、十分な治療・サポートをするべきであると考えます。

高齢者の場合、食事量は比較的少なくなり、毎日決まった量を食べる方が多いため、薬物療法次第でコントロールは大きく変わる、つまり治療の中で薬物療法の比重が大きくなります。

もし、インスリンやGLP-1製剤を導入するのであれば、できるだけ早い方がいい。糖尿病は一般的に進行性の病気で年齢とともに血糖は高くなる傾向にありますし、自己注射導入する時期が遅れるほど注射手技取得が困難になるためです。

ただやっぱり自己注射手技取得は高齢者糖尿病にとっては困難な問題の一つです。1週間指導をしてやっと打てるようになる方もいるし、1か月かかる方もいる。本人がどうしても打てない場合、家族に頼むのか、在宅訪問看護で打ってもらうのか、はたまた老人施設に入所するべきなのか、本人の希望もあるため、今でも悩むような患者さんがおられます。