DAFNE(dose adjustment for normal eating)

カーボカウント法は1型糖尿病の血糖コントロールに有効かどうかを検討したものです。

カーボカウントとは、食事に含まれる炭水化物量をカウントしてそれに相応する追加インスリン(超速効インスリン)を打って血糖コントロールする方法です。食事を制限する方法ではありません。

かつて日本では、1型糖尿病患者さんに対しても、食品交換表を用いた食事療法を指導していました。食事のカロリーや栄養成分を細かく指導する食事療法です。健康にいい食事であることは間違いなですが、友達とおやつを食べたり、家族で外食をするときなどに、食品交換表を用いた食事療法では血糖コントロールすることができませんでした。こういう時にカーボカウントは威力を発揮するのです。普通の人と同じように食事をとり血糖コントロールする方法なのです。

DAFNEではカーボカウントでHbA1cは低下し、QOL、や治療の満足度はカーボカウントで改善しました。一方、重症低血糖、体重はカーボカウントで変化を認めませんでした。

HbA1cの改善度は確かに不十分です。ただ、これだけでカーボカウント法の有効性がないと判断するのは問題と思います。もともと、カーボカウントが日本で広まりだした15年ほど前に、多くの糖尿病専門医はこぞってカーボカウントは体重が増えてしまうと警告をしたものです。当時の食事療法は患者に対して厳しくしないといけない、そうしないと患者は甘えて食べ過ぎてしまうと考えていたのです。未だにそう考える医師は多いです。しかしこのDAFNEで体重が増えないことを証明しました。

行動変容の考え方があります。動機付け面接法や、認知行動療法、コーチングの方法を勉強してみると、医療者が患者に行動変容を求めるときに厳しく指導することは間違いであると、どの方法にも書かれてあります。食欲というのは厳しく指導されてコントロールできるものかと自分に問いただしてみると、そんなに簡単でないことはすぐにわかると思います。

日本語での説明はこちら

https://www.ebm-library.jp/diabetes/trial/detail/50543.html

(DAFNE Study Group: Training in flexible, intensive insulin management to enable dietary freedom in people with type 1 diabetes: dose adjustment for normal eating (DAFNE) randomised controlled trial. BMJ 2002; 325: 746-749.)

カテゴリー: EBM