UKPDS(UK Prospective Diabetes Study)33,34

DCCTは1型糖尿病が対象でしたが、UKPDSは2型糖尿病を対象に行われ、1998年に発表されました。DCCTと同じく糖尿病専門医であればだれでも知っているバイブルのようなものです。
2型糖尿病の経口血糖降下薬であるSU剤とインスリンを使用し厳格に血糖コントロールした群(平均HbA1c 7.0%)と食事運動療法が基本にコントロールした群(平均HbA1c 7.9%)に分けて10年かけて合併症進行度をみました。厳格にコントロールした群では細小血管症の発症進展が抑制されましたが、大血管症では抑制を認めませんでした。(UKPDS33)さらに、肥満2型の方対象で薬物にメトホルミンを使用した場合においてSU剤とインスリンを使用した場合と比べて、糖尿病関連エンドポイント、総死亡、脳卒中のリスクが低下しました。(UKPDS34)

この結果で、分かったことは

1)2型糖尿病でも血糖コントロールで細小血管症のリスクが低下すること。

2)10年間の結果では血糖コントロールで明らかな大血管症のリスクは下げなかったこと。

3)SU剤、インスリン治療よりもメトホルミンで大血管症リスクが大きく低下したこと。

細小血管症のリスクは血糖コントロールが大きく関与しますが、大血管症は血糖のほかに血圧・脂質のコントロールが重要です。SU剤やインスリンはインスリン抵抗性を改善しないので大血管症には効果的ではなかったのです。一方インスリン抵抗性改善薬であるメトホルミンは体重増加もなく大血管症に有効であることが証明されました。

メトホルミンはそれまで乳酸アシドーシスのリスクを懸念しほとんど使われることがなかったのですが、この結果で乳酸アシドーシスもほとんど起こさないことがわかり、使用数が劇的に増えていったのです。

UKPDS33,34の日本語での説明文はこちら

http://diabetes.ebm-library.jp/trial/detail/50018.html

http://diabetes.ebm-library.jp/trial/detail/50019.html

(UK Prospective Diabetes Study (UKPDS) Group.: Intensive blood-glucose control with sulphonylureas or insulin compared with conventional treatment and risk of complications in patients with type 2 diabetes (UKPDS 33). Lancet 1998; 352: 837-853. )

(UK Prospective Diabetes Study (UKPDS) Group.: Effect of intensive blood-glucose control with metformin on complications in overweight patients with type 2 diabetes (UKPDS 34). Lancet 1998; 352: 854-865. )

カテゴリー: EBM