妊娠の有無で、健常な母体の血糖はどのように推移するのでしょうか。
下のスライドを見てもらうと、妊娠状態では非妊娠状態と比べ、食後に血糖は急激に上昇し、その後速やかに低下します。(Phelps RL, et al. Am J Obstet Gynecol. 1981.140:730-6)
妊娠中に食事をとると、母体でグルコースをできるだけ消費しないようにして食後血糖が上昇し、その上昇したグルコースを胎児が消費するのです。まさに、母親が身を削って子供に栄養分を与えているのですね。そのため、妊娠中は血糖が上がりやすいとされています。血糖が上がりすぎると、胎児に影響が出ることが知られています。巨大児となり、難産の原因となりますし、出生時の低血糖や流産などのリスクも増えるため、「妊娠糖尿病」との診断にて治療が開始されます。