糖尿病の病名の由来 2/6

「西説内科撰要」(1792年)には「糖尿病」につながる「尿崩」がはじめて記載された資料でした。

「尿崩は羅甸に之を胡栗納布碌私篤彪謨(ウリナフロストビーム)若別的斯(ヂャプテス)と謂ふ。 …曰く尿崩、曰く多尿、曰く乳麋尿是なり、多尿は其小水平常にして増多なるなり、尿崩は諸般の希薄なる敗液腐汁を瀉出するなり。」

胡栗納布碌私篤彪謨(ウリナフロストビーム)、若別的斯(ヂャプテス)はurinae profluvium とdiabetes のことになります。Urinae profluvium はan excessive discharge of urineの意味と考えられています。

原典の‶Ezuiverde geneeskonst, of Kort onderwys der meeste inwendige Ziekten” には標題が「Van de Pisvloed (Urinae Profluvium, Diabetes.)」と記載されています。

Pisvloedとはpis=尿、vloed=flood 洪水、氾濫で,まさに尿崩の意味です。Pisvloed から「尿崩」という病名が生み出されたと考えられます。

(羽賀達也他. 糖尿病49. 633-635: 2006より)