糖尿病と運動 6/14

一方、空腹時の場合、血中インスリンは低濃度になります。そうすると、軽い運動では筋肉は脂肪酸をメインに利用するため、血糖は下がりにくいのです。当然、強度が強く長期間になると、低インスリン濃度下でも筋肉は次第にブドウ糖を利用する割合が大きくなり、血糖は下がってきます。

まとめますと、食前の有酸素運動では、筋肉は脂肪酸を利用する割合が高いため、血糖は下がりにくく、食後の有酸素運動では、筋肉はブドウ糖を利用する割合が増えてくるため、血糖は下がりやすくなるのです。

運動をすることは大変健康にいいことなのですが、糖尿病で低血糖のリスクのある薬剤(スルホニル尿素薬やグリニド薬)やインスリンを使用していると、運動すると、どうしても低血糖のリスクが付きまといます。低血糖を起こすのはやはりいいことではないのです。

食前の有酸素運動は、血糖が下がりにくいので軽い運動を短期間であれば問題は少ないです。ただ、長期間運動をすると食前でも低血糖の可能性が出てきます。食後は運動をしていなければ血糖は上昇するので、その時間帯に有酸素運動をすることは血糖コントロールのためには大変有効です。しかし、運動しすぎると低血糖のリスクが高くなるので注意が必要となります。

以上のことは、1型でも2型でも同じことが言えますが、1型の場合はインスリン自己分泌がないので血糖変動が2型よりも顕著となるのです。