インスリンポンプの仕組み 11/16

糖尿病ケトアシドーシスのリスク

ポンプでは超速効型インスリンのみを使用するため、穿刺部の閉塞などによりインスリン注入が中断してしまうと、すぐにインスリンが不足し、血糖が急上昇し、ケトン体産生が始まります。また、注入セットが引っ張られたりすることで刺入部が抜けてしまうこともあります。一般的にはインスリンが全く入らない状態が1時間続くとケトン体が増加してきます。そして放っておくと、1日も経たないうちにケトアシドーシスが出現し入院が必要となり、さらに生命の危険が出てくることにもなりえます。血糖は注意深く観察しておき、血糖が急上昇し閉塞を疑ったならば、速やかにペンでインスリンを補充し穿刺部の交換が必要です。注意点として、SGLT-2阻害薬内服中の場合には、血糖はそれほど上がっていないのにケトアシドーシスを起こすこともあるため、さらなる注意が必要です。

完全に閉塞した場合は、血糖が急激に上昇しますが、閉塞しつつある状態では、インスリンは不十分な状態で入るため、ボーラスインスリンで補充すると、血糖の急上昇はないものの、なかなか下がりません。この状態で閉塞だと気づかないと、血糖高値のまま長時間経過することになります。このような時にも、速やかに穿刺部の交換を行わないといけません。

そして、インスリンのペンは常に持っておくようにしましょう。