ACCORD試験

糖尿病の合併症について、DCCTやUKPDSでHbA1cを下げると細小血管症の予防につながることはすでに証明されていましたが、大血管症については今一つはっきりしなかったのです。特に厳格に血糖コントロールを行い、HbA1cを正常域まで下げると大血管症予防につながるかどうか検討したのがACCORD (Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes) 試験です。

この調査は心血管疾患の高リスクの糖尿病患者を対象に、目標HbA1c値を強化療法群は<6.0%,標準療法群は7.0~7.9%と2群に分け調査しました。結果は強化療法群の死亡率が標準療法群のそれより増加していた(千・人・年あたり14対11)ことが調査の途中で判明し、この調査を中止するという驚くべき発表がなされたのです。

その後、どうして厳格に血糖コントロールすると死亡率が上昇するのか検討をすると、インスリン等で血糖コントロールをする際に、重症低血糖を起こすことでこれが心不全などの致死的合併症を惹起するのではないかという結論に至りました。

血糖コントロールの質にも焦点があてられた画期的な報告でした。今では、日本の糖尿病臨床では低血糖をできる限り起こさないようにコントロールしていくよう、意識づけがされています。

日本語での説明は

https://www.ebm-library.jp/diabetes/trial/detail/51069.html

(Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes Study Group, , Miller ME, Byington RP, Goff DC, Bigger JT, Buse JB, Cushman WC, Genuth S, Ismail-Beigi F, et al.: Effects of intensive glucose lowering in type 2 diabetes. N Engl J Med 2008; 358: 2545-2559.)

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